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第2回HAI-FES国際ワークショップの開催報告

第2回HAI-FES国際ワークショップがオンラインと対面の両方で開催されました。対面は2024年2月27日に北海道大学フード&メディカルイノベーション国際拠点の多目的ホールで行われました。約30名のオンライイン参加者と約20名の会場参加者が集まりました。オンライン参加者の中には海外の方が相当数いらっしゃったと思われました。第1回目のワークショップは2023年3月に行っています(https://www.arc.hokudai.ac.jp/230317-1/)。
HAI-FESは、北海道大学機能強化推進事業の一つであり、北極圏における課題解決型の学際的・融合的研究に取り組む研究者・機関のネットワーク形成を一つの目的としています。本ワークショップは、アジアを中心とした中緯度地域の研究者・機関が一堂に会し、北極圏における社会と関係する研究活動の課題や留意点について議論することを目的にしていました。
本ワークショップは3つの基調講演と3つのセッションで構成されていました。まず、イラン・チャバイ氏が「北極圏(およびその他の地域)における持続可能な未来に関する意思決定のための共有された意味付け」について基調講演を行いました。彼は人間が意思決定する際は、利用可能なデータそのものではなく、データの解釈や意味づけ、また、その際の感情的・文化的背景に基づいて行う、と述べ、その例を示しました。二番目の基調講演は、本田明治氏による「北極圏の気候変動が中緯度に及ぼす影響と備え」についての講演でした。本田氏はユーラシアにおける極端気象とそれによる災害はCutoff Lowsが北極域の寒波をもたらすことによって発生すると述べました。3番目は、ポール・バークマン氏による基調講演 「北極圏の持続可能な開発のための、情報に基づいた意思決定による科学外交」でした。彼は、国際関係のどんな状況においても持続する“対話(Dialogue)”が重要であり、それを持続させるのはお互いの共通した興味(Common interest)であると述べました。
イラン・シャバイの基調講演に続くセッション1では、”より良い未来のための社会変革 - 北極圏からの教訓 “をテーマに、大西富士夫がモデレーターを務めました。また、パネリストとして、リア・ランビーノ氏、ポール・バークマン氏、イラン・チャバイ氏が会場で、安成哲三氏がオンラインでコメントしました。この中で安成氏は、北極研究の必要性についてもう一度確認し、持続的な発展のための科学の推進を求めました。
昼食後に始まったセッション2では、大塚夏彦がモデレーターとなり、アジアの機関・国における北極圏研究の取り組みについて発表・討論を行いました。インドからビジェイ・クマール氏オンラインで、インドの北極研究の概要やインドの北極政策を紹介しました。台湾からフワ・チエン氏が会場から、台湾の北極研究や国立中央大学に昨年設立された台湾極地研究所の概要を紹介しました。韓国のヒュンチュル・シン氏がオンラインで、韓国がなぜ北極研究にコミットするか、韓国の北極研究を紹介しながら発表しました。
第3セッションでは、ユハ・サウナワーラがモデレーターとなり、ステークホルダーが関わっている現在進行中の北極圏プロジェクトについての考えが発表されました。ランビーノ氏は“超学際的研究ネットワークの可能性と落とし穴について“と題して発表しました。パーラト氏は”コミュニティ主導の調査と北極圏先住民コミュニティとの知識の共有“ついて発表し、大塚氏は“北極域学のコンセプト”について説明しました。


参加者の集合写真