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北極域研究センター月例セミナー(2024年4月)を開催しました

  • 2024.4.17

北極域研究センター月例セミナー(2024年4月)を4月16日(火)に開催いたしました。

日時 2024年4月16日(火) 11:00-12:15
開催形式 ハイブリッド (オンラインと会場参加)
言語 英語
参加者 12名
講師:
ツェ・カン・レン教授
所属:
中央研究院政治学研究所(IPSAS)(前所長)、国立政治大学、台湾
演題:
北欧外交と東アジア:フィンランドの事例
講演要旨:
米中対立と露中連携は、特にウクライナ紛争以降、北極圏の地政学的枠組みを変えた。北欧諸国と中国の相互信頼は低下し、権威主義的な支配に対する疑念が高まっている。フィンランドをはじめとする北欧諸国は、多国間主義と民主主義の価値を強化するために、新しいタイプの「中堅国同盟」を模索している。このような同盟は、人権の促進、協調的ガバナンス、非政府組織、文化の相互理解といった共通の原則に基づいている。これらの原則は、北欧諸国と日本や韓国といったアジアの民主主義国家の双方が提唱する「人間の安全保障」の実現である。このような政策転換は、大国との二国間関係の圧力を緩和する「第三者」を見つけるという北欧外交の基本指針にも合致する。
経済的利益は、北欧外交全般、特にフィンランド外交の多国間協力の基盤として機能し続けている。フィンランドは依然として中国にアノード材料プロジェクトへの投資を呼びかけ、中国のグローバルな電池サプライチェーンとの連携を続けている。このような努力は、中国との関係を完全に断つのではなく、リスクを回避するという方針を反映している。中国との継続的な経済的つながりは、地政学的な懸念と経済のグローバル化の調整との間でバランスを取るための政策の変化も示している。他方、民主主義をはじめとする人間の安全保障の「ソフト」な側面は、国内の利益と経済的相互依存を結びつける接着剤のように機能している。経済的要因は依然として重要だが、弾力的なダイナミズムは、長期的には他の東アジア諸国との人権、社会福祉、規範力に関するより包括的な相互理解に投資されるだろう。