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北極域研究センター月例セミナー(2024年3月)を開催しました

  • 2024.3.21

北極域研究センター月例セミナー(2024年3月)を3月19日(火)に開催いたしました。

日時 2024年3月19日(火) 10:30-12:15
開催形式 オンライン
言語 英語
参加者 8名
講師1:
平田貴文(上席研究員、NPOディジタル北海道)
講演タイトル:
地球規模で考え、地域で行動する: 当別町地球温暖化対策実行計画策定への参加報告
講演要旨:
気候変動枠組条約は、1992年にリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(通称:地球サミット)で154カ国が署名し、1994年に発効した。日本もこの条約に参加した。1998年には「地球温暖化対策の推進に関する法律」という国内法が制定され、「地球温暖化対策計画」が閣議決定された。これを受けて、日本の地方自治体は「地方公共団体行動計画」の策定が義務づけられた。自治体は都道府県と市町村に分類され、それぞれ事務事業編と区域施策編を策定することになっている。北海道当別町は、北日本に位置する人口15,252人(2024年3月現在)の小さな町であり、2022年度までに「事務事業編」を策定済みである。2023年度には、当別町が「当別町地球温暖化対策計画策定委員会」を組織し、筆者も委員として加わり、「区域施策編」を策定した。本発表では、まず当別町における地球温暖化対策の状況を紹介し、このような小さな町が国や地球規模の気候緩和にどのように貢献できるかを議論する。
講師2:
中山智博(学部4年生、北海道大学農学部 流域砂防学研究室)
講演タイトル:
ECMWF 数値予報再解析データを用いた氷河湖拡大のモニタリング手法の提案
講演要旨:
近年,地球温暖化に伴って氷河が融解,後退するとともに氷河湖が拡大している.氷河湖の拡大に伴って氷河湖決壊洪水が世界各地で発生しており,その対策が課題である.決壊の危険性が高い氷河湖は世界に数千個存在し個別に現地で監視することはコスト,時間の観点からも非常に困難である.
現在,氷河湖拡大状況の監視では地球観測衛星によって得られた衛星画像から,拡大状況を推定する手法が一般的である.しかし,衛星画像からは拡大状況を氷河などの融解・流出プロセスに基づいてモニタリングすることができない.
本研究では,ECMWF 数値予報再解析データ, ERA5−Land と一般の計算機でも行うことができる簡単な解析手法のみを用いて,全世界で応用可能な氷河湖へ流入する水量を予測するモデルを提案した.
本モデルをネパールのTsho Rolpa Glacial Lakeに適用し,氷河の融解量,氷河湖への流入するピーク水量の時期を精度良く再現することに成功した.