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帰山雅秀研究員(北大名誉教授)、2020年度北海道科学技術賞を受賞

  • 2021.3.1

帰山雅秀研究員(北大名誉教授)が2020年度北海道科学技術賞を受賞しました。受賞テーマは、「サケ類の生態系アプロ-チ型持続可能な資源保全管理を目指した研究」です。

北海道では,昭和35(1960)年以来毎年、科学技術上のすぐれた発明、研究等を行い、本道産業の振興,道民生活の向上など経済社会の発展振興等に功績のある者に,知事表彰として、北海道科学技術賞を贈呈している。

北海道科学技術賞及び北海道科学技術奨励賞について(外部サイト)

[授賞理由]

帰山雅秀
サケ類の生態系アプロ-チ型持続可能な資源保全管理を目指した研究

遡河回遊を行うサケ類は河川で生まれ、海洋で成長し、再び生まれた川に帰って産卵すると いう特徴的な生活史を有するため、その資源は地球温暖化等の海洋環境変化や人間の産業活動の影響を強く受けている。氏は、これまでサケ類の生活史や個体群動態、種間相互作用等の生態学を基礎とした研究・教育を進め、特に、サケ(シロザケ)の鱗分析による年齢・成長履歴と個体群動態の解析から、回帰個体の小型化や高齢化が個体数増加に起因する密度効果によることを初めて実証し、環境収容力の概念の有効性を示した。また、長期的な気候変動がサケ類の環境収容力と海洋生態系に及ぼす影響や今後の地球温暖化がサケの海洋分布や回遊に与える影響を明らかにしている。知床世界自然遺産地域では、サケ類の産卵遡上が海由来の物質を海から森に運ぶ物質輸送のメカニズムを明らかにしている。さらに、野生魚(自然産卵魚)を考慮したサケ類の資源保全の重要性を科学的データに基づき、いち早く提唱している。これらの成果は、いずれも国際的に高く評価され,独創的、先駆的なものであり、サケ類の資源管理のみならず海洋生態系の保全にも貢献している。