北極域研究センター研究助成

採択者・報告書等

2026年度 採択者

【採択者一覧】

名前 所属(北海道大学内) 事業名
古屋 正人 理学研究院 永久凍土帯の森林火災跡における地盤変動のリモートセンシングと現地調査
野村 大樹 水産科学研究院 アラスカ大学との北極海沿岸の海氷生物地球化学に関する国際共同研究
PODOLSKIY, Evgeny 北極域研究センター 北海道大学総合博物館 技術補助 標本製作担当 一般社団法人ちせ 理事 オリジナルグッズ製作 BONY WORKS 代表 標本製作・レプリカ製作
SAUNAVAARA, Juha Mikael 北極域研究センター The Second Asia-Arctic Conference (AAC) of Asia-Arctic Network for Research and Education (AANRE)
松野 孝平 北方生物圏フィールド科学センター 太平洋側北極海の動物プランクトン相における亜寒帯化の進行の解明
服部 倫卓 スラブ・ユーラシア研究センター 研究課題名「戦争と制裁に揺れるロシア北極域の戦略資源輸出」
大西 富士夫 北極域研究センター 大学院共通授業科目「SDGs実習:北方圏演習:北極域の大気と海洋と陸域の環境・社会(NJE3)」
GREVE, Ralf Gunther 低温科学研究所 Simulations of the Greenland ice sheet under future global warming scenarios within the international ISMIP7 initiative
石川 守 地球環境科学研究院 ユーラシア南限永久凍土域での持続的研究拠点形成にむけた国際研究集会
上野 洋路 水産科学研究院 北極海チュクチボーダーランド貯熱量変動に関する国際共同研究
露崎 史朗 地球環境科学研究院 ミズゴケ湿原再生を軸とした中高大連携型環境教育プログラムと地域協働による保全活動の推進
植竹 淳 北方生物圏フィールド科学センター 氷河暗色化に関与する雪氷藻類の解析:日チェコ国際共同研究基盤の構築
THIEBOT, Jean-Baptiste 水産科学研究院 Using miniaturized GPS data loggers to track the use of dynamic marine habitats by little auks in northwestern Greenland.
平田 貴文 北極域研究センター Arctic Frontiers 2027 国際共同セッション開催
森 太郎 工学研究院 北方圏の大学キャンパスにおけるデータセンターの防災と省エネ運用:地域間比較調査とステークホルダー連携基盤の構築
富安 信 水産科学研究院 グリーンランド先住民との市民科学を通じた水産資源管理活動

2025年度 採択者

古屋 正人

所属機関:北海道大学大学院
研究課題名:地盤変動のリモートセンシングによる森林火災跡地域における永久凍土の後退と回復過程の解明
報告書:
 北半球の高緯度域は「連続凍土帯」に位置しており、地表から約1メートル以深には永久凍土が分布しています。凍土の中には大気中の炭素の倍以上にあたる有機炭素が封じ込められていると言われ、凍土の融解に伴うその大気中への再放出は更なる温暖化の加速を招く可能性が懸念されています。凍土の融解は温暖化の進行によってゆっくりと進むことに加えて、地表面の擾乱によって突発的かつ急速に進む場合もあります。特に森林火災はその代表的要因であり、温暖化によって森林火災そのものの頻度や規模も上昇傾向にあると報告されています。そのため森林火災による凍土の融解が実際どのくらいの速度で進むのかを調べることは重要ですが、従来は定量的な評価が殆ど進んでいませんでした。
 本研究は北西カナダのユーコン準州で過去50年に渡って発生した森林火災跡地での地盤変動を人工衛星で得られるレーダー画像の解析によって調べました。レーダー画像データは最近10年程度で得られたものですが、画像の中にはさまざまな年代の火災跡地が含まれているため、火災後の地盤変動を調べることによって、数10年スケールで永久凍土がどのように融解し、回復するかを調べることが出来ます。図には1986年、2004年、2017年の火災跡地と非火災跡地(左)での2017年以降の地盤変動(右)が示されています。2017年火災跡は急激に沈降しているのに対し、2004年火災跡ではゆっくりと隆起しており、前者では融解が進み、後者では凍土の回復が強く示唆されます。この一連の過程は地表植生の消失と回復に支配されていると考えられます。また、1986年火災跡ではほぼ安定しているように見えますが、非火災跡ではゆっくりとした沈降も示されています。

(左)過去の火災跡の分布.(右)1986年、2004年、2017年に発生した火災跡地及び非火災跡地での2017年以降の地盤変動の推移.

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