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論文掲載 : 南部チャクチ海における溶存有機物の分布について

  • 2016.9.28

本学環境科学院の修士課程を修了された田中 和樹さん(指導教員:山下 洋平准教授)の研究成果が、Scientific Reportsに9月23日付けで掲載されました。

田中さんと山下准教授は本センター兼務教員である西岡 純准教授、大木 淳之准教授、平譯 享准教授らと共に、2013年のおしょろ丸航海において、南部チャクチ海に分布する溶存有機物の存在量およびその化学的性質を調べました。チャクチ海では、陸起源、堆積物由来、海氷由来、自生性と様々な起源をもつ溶存有機物が分布している事が予想されます。溶存有機物の化学的性質は起源によって異なり、化学的性質の違いによりその機能(生物利用性や微量金属との錯形成能など)が異なるため、溶存有機物の起源を解明することは重要です。分析および解析の結果、夏季の南部チャクチ海表層における溶存有機物の分布には、その場での生成や分解の影響は小さく、様々な起源水塊中における溶存有機物の保守的混合が重要である事が明らかとなりました。

この研究は、GRENE北極気候変動研究事業および現在進められている北極域研究推進プロジェクト(ArCS)のテーマ6(PI:平譯准教授)の海洋生態系関連の成果です。また、科学研究費補助金・新学術領域研究・新海洋像:その機能と持続的利用(NEOPS)や本学低温科学研究所・共同研究の一環として行われたものです。

雑誌名: Scientific Reports
論文タイトル: The conservative behavior of dissolved organic carbon in surface waters of the southern Chukchi Sea, Arctic Ocean, during early summer
著者: 田中 和樹1、武居 信行1,2、西岡 純2、近藤 能子3, 4、大木 淳之5、 久万 健志5、平譯 享5、山下 洋平1,6
1北海道大学 大学院環境科学院、2北海道大学 低温科学研究所、3国立極地研究所、4長崎大学 大学院水産・環境科学総合研究科、5北海道大学 大学院水産科学研究院、6北海道大学 大学院地球環境科学研究院

詳しい発表内容については下記をご覧ください。

http://www.nature.com/articles/srep34123